司法

刑事裁判の目的

刑事裁判というのは被害者の復讐を目的としているわけではないのだが、そう思っていない人もいて、裁判員制度においてどのような影響があるか気になるところである。以前にも書いたが、刑事裁判の目的というのは大きくは以下の3点である。 実体的真実の発見…

裁判員制度

3月5日のエントリーに以下のブックマークコメントを頂きました。 2008年03月13日 CrowClawさん [我らは神の代理人][★]で、こういうバカ共が陪審員になるわけだ。日本の未来は暗い。 コメント中の陪審員は裁判員の誤記だと思われますがそれはともかく、「我…

暴行致傷罪

ネタが何も思い浮かばないので、今回は暴行罪の話をします。「暴行」というと新聞報道なんかでは「婦女暴行」という言葉を強姦の意味で使ったり、「暴行を加え死亡させた」とかいう使い方をしますが、刑法の暴行罪における「暴行」はそういう意味ではありま…

刑ま系の人々2

時折、刑事司法に関して神の視点で意見を述べる方がおられる。 職業別念願の方法 − 弁護士 最近の裁判における弁護士の弁護姿勢は疑問に思うことが多いですね。被疑者について予断を持ってはいけないことはわかりますが、それにしても弁護士としての仕事は、…

刑ま系の人々

かの有名な数学者ユークリッドは、エジプト王プトレマイオスから「簡単に幾何学を学べる方法はないのか」と問われて、次のように答えたといわれている。「幾何学に王道なし」。現在では、この言葉は幾何学に限らずすべての学問に対していえる言葉であるとと…

これが脳内事実というやつか

新年一発目のエントリーのコメント欄に、いろいろわらわらと(NATROMさん曰く、いい感じで)湧いているんですが、こんな過去に一連のエントリーで言及したブログを一覧にしただけのエントリー(ネタが思いつかなかったからなのだが)でこんなに湧いてくるのか不…

光市母子殺害事件再び

この事件に関してはあとは判決を待つだけで、いままでのエントリーのまとめ以外に特に書く気はなかったのですが、昨日のエントリーにいくつかコメントを頂いたのでそれに関する見解を書きます(ネタを考えずに済むという利点があるw)。 まず第一にですが、 (…

判決が出たら…

光市事件弁護団への不当な懲戒請求が多数行われています。これは橋下弁護士がよみうりテレビの「たかじんのそこまで言って委員会」という番組で煽ったことが大きく影響しているのではないかと言われています。よみうりテレビの公式サイトに「たかじんのそこ…

死刑にならない方法を考えてみる

光市事件弁護団への不当な懲戒請求が大量に寄せられているが、それを踏まえて、凶悪事件を起こした時に絶対に死刑にならない方法を考えてみた。 まず、不当な懲戒請求をしている人たちがいう、「弁護人は荒唐無稽な主張で被害者(遺族含む)感情を傷つけてはい…

懲戒請求その4

光市事件弁護団への不適切な批判を行うブログは結構あって、いろいろと見てきたのだが、中には「不満に思っているのはわかるのだが、何が言いたいのかさっぱりわからない」というブログが結構ある。 【光市母子殺害事件】弁護士は懲戒せず 東京弁護士会が議…

懲戒請求その3

<光母子殺害>弁護士は懲戒せず 東京弁護士会が議決 山口県光市で99年に起きた母子殺害事件差し戻し控訴審の弁護団(約20人)の弁護士に対して、全国で懲戒請求が相次いだ問題で、東京弁護士会が「正当な刑事弁護活動の範囲内で、懲戒しない」と議決し…

懲戒請求その2

弁護士の懲戒請求を、懲戒事由がなく、きちんと調べればそれがわかったにもかかわらず行った場合は、不法行為となり得る。その場合、対象弁護士に損害を与えたならば損害賠償の必要も出てくる。今回の光市弁護団に対する懲戒請求にはテンプレートサイトを使…

懲戒請求その1

弁護士への懲戒請求は誰でもできる。できるが、これは「負担なくできる」とか「無責任にできる」という意味ではない。自分がなにか希望したときに、自分は意見表明しさえすれば、あとは他人が何でもやってくれて、無責任に構えていられればいいな、というの…

刑事裁判とは?

犯罪というのはあってはならないものであるが、悲しいことに存在し、その分だけ被害者(含む遺族、以下同じ)も存在する。犯罪被害者が速やかに救済されることは近代社会において非常に重要なことである。犯罪被害者を救済するための制度は多々用意されており…

人権派って?

光市事件弁護団への不適切な批判にあたって、よく使われる言葉が「人権派」というやつである。 南雲研究室 − 人権派弁護団は末期症状か(山口県光市母子殺害事件考) 考えてみれば、弁護団は「死刑へ、死刑へ」と流れを導いているように思えてならない。 高裁…

推定無罪の原則

誰であろうと、有罪が確定するまでは無罪の推定を受ける。いわゆる推定無罪の原則である。 世界人権宣言11条1項 犯罪の訴追を受けた者は、すべて、自己の弁護に必要なすべての保障を与えられた公開の裁判において法律に従って有罪の立証があるまでは、無…

なにをやらせたいんだろう?

くっぱさんのセリフではないが、光市弁護団を批判する人たちは刑事弁護人にいったい何をやらせたいのだろうか。まったくもって謎である。 うまかった倶楽部/回線問屋さん 差し戻し控訴審の集中審理が終わった。 これほどバカにした話があるだろうか。 「21…

弁護団の入れ知恵?

ひたすら被告人の味方をするのが刑事弁護人に与えられた職責です。被告人に法律知識がなければ、それを補助してやらないといけません。もちろん弁護人は助言するだけであり、最終的にどのような方針を採るか決めるのは被告人です。被告人が弁護方針を決めれ…

死刑廃止論?

どんな所にも的外れな批判をする人はいる。もちろん光市母子殺害事件の弁護団に対する批判も例外ではない。光市事件弁護団に対する筋違いな批判が結構世に出回っているので、ここにそれらを書き連ねてみようと思う。まずは「死刑廃止論」絡みの話から。 ギロ…

真実を語る

9月21日のエントリー「光市母子殺害事件NEXT」の、こっこさんのコメントにあった「被告人には真実を語って欲しい」という部分への私の意見です。 最初に建前というか、理想論を書きます。なんらかの罪を犯したとき、それを隠そうとするのは良い行いで…

どのような教育が必要か

「相手の言ってもいないことに反論する」って人は、結構います。たとえばこんなかんじです。 意外としつこい(苦笑)のコメント欄(ちゃんちゃんのたわごと/ちゃんちゃん) 回線問屋さん 『ルールに制限されていない行動は、道徳的配慮に欠けてようが、すべて…

刑事法の大原則

刑事法の分野にはその理念に基づく二つの大原則がある。刑事実体法をつらぬく大原則が「罪刑法定主義」、刑事手続法をつらぬく大原則が「法定手続の保障」である。これらは、日本が民主主義国家である以上、国家には必ず守ってもらわなくてはいけない大原則…

リンク禁止厨のたわごと

前回のエントリーは過去最大のブックマークがあった。というのも、私が参考にあげたブログの管理人であるちゃんちゃんさんがよりにもよってリンク禁止厨だったからである。私は引用禁止厨にからまれたことすらあるから、リンク禁止厨にからまれるぐらい気に…

通じない人たち

弁護士の開設しているブログにもいろいろあるが、私が特に面白いと思っているのは「元検弁護士のつぶやき」である。このブログはその名のとおり、元検弁護士であるモトケンさんが開設しているブログで、さまざまな話題が書かれており参加者も多い。光市母子…

むべ山風を荒らしといふなむ

今枝弁護士のブログのコメント欄が閉鎖された。 コメント受付中止のお知らせとお詫び 荒らしコメントが多発していたので危ないと思っていたが、現実のものとなってしまった。荒らしコメントについては随時削除するなどして対応されていたようだが、もともとY…

今枝弁護士の声明に賛同します

今枝弁護士のブログ 声明 刑事弁護人よ、立ち上がれ 今枝弁護士の上記声明に賛同します。

被告人質問での出来事

今枝弁護士のブログで、被告人質問にて起こったある出来事が取り上げられていた。 検察官は、僕をなめないでいただきたい! 検察官が、「私は見たんだが、あなたは、先ほど、遺族の意見をメモしながら、すーっと1本線を引いて消したね。あれはどういうこと…

刑事弁護人の役割

今枝弁護士のブログは誰でもコメントができるようになっているので、非法律家の方もいろいろな意見を述べている。そういった意見を読んでいて思うのが、刑事弁護人の役割、とりわけ「社会正義の実現」に関しての誤解がかなり多いということだ。弁護人の更新…

弁護団に謝罪しないといけない

光市母子殺害事件の弁護団の一人である今枝仁さんがブログを開設された。 弁護士・人間・今枝仁 今枝弁護士はこのブログで更新意見書を複数回に分けて掲載されている。このブログは誰でもコメントできるようになっていて、更新意見書を読んだ方の様々な意見…

トンデモさんの思考回路

トンデモさんの中に「相ま系」といわれる人たちがいる。「相対性理論は間違っている!」と主張する人たちのことである。この相ま系の中に窪田登司さんという方がいて、『アインシュタインの相対性理論は間違っていた』『「相対論」はやはり間違っていた』等…