刑事訴訟制度崩壊か?

例の光市母子殺害事件弁護団に対する懲戒請求が4000件を越えたらしい。ものすごい数であるが、署名活動じゃあるまいし数だけ増えても意味がない。懲戒に相当する事由があれば請求は一件でも十分だし、事由がなければ十万件の請求があったって無意味である。
いささか無責任だかそれを承知で、とりあえず見聞きした範囲だけで言ってしまうが、私には今回の弁護団の主張が通るものには思えない。検察側がよほどのヘマをしない限り(またはしてない限り)、裁判官を納得させることは出来ないだろう(*1)。また、このようなトンデモ主張を聞かされた遺族の悲しみは察するに余りある。
しかしながら、それを理由に弁護団を批判するのは筋違いである。弁護人は被告人がどんな人間であろうともその味方をしなければならない。そのためにどんなトンデモ主張をすることになろうとも、あるいは被害者やその遺族を傷つけることになろうとも。それが弁護人に課せられた使命である。
弁護人がその使命を負わなくなった時、それは現在の刑事訴訟制度が崩壊する時である。そうなった時、困るのは誰だろうか。それは法曹関係者ではない。一般市民自身である。
そう考えると、医療崩壊と根本は同じかもしれない。

(*1)…もっと良いやり方があったのではとも思うが、現状を考えるとやむなしかもしれない。