独禁法について考える

前回に続いて、また法律の話である。堅い話が続くが、御勘弁願いたい。
江戸時代、日本は鎖国をしていた。きわめて一部の例外を除き、日本は他国と国交がなかったのである。もちろんそれは江戸時代の話であり、現在の日本は鎖国などしていない。
しかしだからといって、世界中のすべての国と日本は国交があるわけではない。現在でも日本と国交がない国は存在する。その筆頭がドイツである。日本はドイツとの友好を禁止する法律まで作って国交を禁止している。独逸友好禁止法、いわゆる独禁法である。
民間レベルの交流まで禁止されているので、ドイツとの交流はオリンピック等の国際大会か、国際会議に限られる。日本とドイツが一対一で向き合うことはないのだ。
もちろん昔からドイツと仲が悪かったわけではない。むしろ逆である。なにしろ第二次世界大戦では同盟を組んで一緒に鬼畜米英と戦った仲である。
しかしその第二次世界大戦の敗戦が、両国に亀裂を生んでしまった。お互い、敗戦の責任を相手に押し付けたのである。その亀裂は深く、2006年のサッカードイツワールドカップでは二次トーナメント進出を日本はボイコットした。これはドイツW杯の二次トーナメント進出チームに日本の名がないことからすぐ確認できる。
しかし、もし第二次世界大戦で日本が勝っていたらどうなっていただろうか。たぶん日本とドイツは今でも友好国であっただろう。かわりに、おそらくアメリカと国交断絶していたであろう。独禁法の対アメリカ版を作って、民間レベルの交流も禁止されたであろう。法律の名前は米禁法あたりか。いや、それはまずい。そんな名前にすると、字面だけ見て稲作を禁止した法律だと思ってしまう慌て者が出てこないとは限らないではないか。