そして泥棒だけが残った

グリーンピースによる鯨肉泥棒事件ですが、乗組員の横領疑惑について共同船舶側の調査の中間報告が出ました。

http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2008051900335
調査捕鯨船「日新丸」の乗組員が鯨肉を横領したと環境保護団体グリーンピース・ジャパン(GP)が指摘している問題で、乗組員が所属する共同船舶(東京)は19日、GPが入手した鯨肉23.5キロについて、横領ではないとする調査結果を水産庁に報告した。
同社によると、北海道函館市の乗組員(52)は、自分用の土産のうち「畝須(うねす)」と呼ばれる鯨肉約8キロのほか、20代の乗組員3人から譲り受けた畝須約24キロを段ボール2箱に詰めて自宅に送ったと説明。乗組員3人も譲った事実を認めたという。

これに関しては水産庁は前にも次のようにコメントしています。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080516-00000004-jct-soci
 水産庁遠洋課では、「事実関係を確認しているところで、まだコメントを出す段階ではありません。共同船舶が日本鯨類研究所から購入した鯨肉を乗組員に渡していたと聞いており、それなら何ら問題はないと思っています」と話している。

捕獲調査の副産物である鯨肉は日本鯨類研究所のものですから、共同船舶が勝手に自分たちのものにしていたら問題ですが、共同船舶自ら鯨研から買い取って乗組員に渡しているなら問題ありません。そうなると次のように主張していたグリーンピースはどうでるでしょうか。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080515-00000039-mai-soci
配送する箱を宅配業者から無断で回収した調査方法については「横領行為の証拠を入手するためで問題ない」と説明している。

「たとえ横領であっても問題あるだろ」と突っ込みたくなるところですが、横領ですらなかったとしたら、もっと寒い主張になります。
そしてこの泥棒事件で被害を受けた宅配業者ですが、西濃運輸だそうです。自分たちが預かった荷物が盗まれて、盗んだ張本人が盗んだ事実を堂々と公開したわけですから、西濃運輸としてはたまったものではありません。信用問題になりますから。西濃運輸側も放置するわけにはいきませんから、被害届を出したようです。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080517-00000064-san-soci
日本の調査捕鯨船「日新丸」の乗組員が鯨肉を横領したとして、環境保護団体「グリーンピース・ジャパン」(GP)が東京地検に告発状を提出した問題で、乗組員の荷物を扱った「西濃運輸」(岐阜県大垣市)が16日、鯨肉の入った荷物1個をGPに盗まれた疑いがあるとして、青森県警に被害届を提出した。

客から預かった荷物を盗まれて黙っていたら、客の信用を失います。西濃運輸としては当然の対応でしょう。それに対するグリーンピース側のコメントが以下。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080519-00000949-san-soci
日本の調査捕鯨船「日新丸」の乗組員が鯨肉を横領した“証拠品”として、環境保護団体「グリーンピース・ジャパン」が西濃運輸の青森支店から配達中の荷物を無断で抜き取っていた問題で、同団体が19日、東京都内で取材に応じ、「ご迷惑をおかけしたことはお詫びしたい」と西濃運輸側に謝罪したことを明らかにした。

さすがに開き直るわけにはいかないと判断したのでしょう。仮に横領疑惑についてのグリーンピースの主張が正しかったとしても、西濃運輸は関係ないですから。
そして、窃盗疑惑についてのコメントが以下。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080519-00000949-san-soci
一方、荷物を持ち出したことが窃盗罪にあたるとの批判については、「違法性については私たちの判断することではない。警察、検察の捜査には協力していきたい」と述べるにとどめた。

「違法性はない」から、かなりトーンダウンしました。とんでもない勇み足をしたことを感じているのでしょうか。
まだ水産庁その他の調査も途中ですし、当局も捜査段階ですし、なにより報道内容が真実とは限らないわけですが、発表されている範囲で判断する限り、グリーンピースはとんでもない自爆をした可能性があります。とりあえず、関係各所の調査等を待ちたいと思います。