うそつきのなれの果て

自称環境保護団体グリーンピースが面白いことをやってくれました。

http://www.asahi.com/national/update/0515/TKY200805150114.html
 日本の調査捕鯨で捕られた鯨肉を乗組員が無断で持ち出している疑惑について、環境NGO「グリーンピース(GP)・ジャパン」が15日、東京都内で記者会見した。船から配送されたという段ボール箱に入った塩漬けの肉を「証拠品」として示し、疑惑解明や調査捕鯨の見直しを訴えた。同日午後、乗組員ら12人を業務上横領の疑いで東京地検に告発する。

面白いのはここ。

 GPが確認した箱は、4月15日に東京に帰港した船から降ろされた荷物の一部。GPは調査捕鯨船・日新丸の元乗組員から「乗組員が鯨肉を私的に持ち帰っている」との情報提供を受けて調査しており、同日、船から出された荷物を積んだ運送会社のトラックを追跡。配送所などで「塩物」などと書かれた伝票と乗組員の名簿を照合し、12人の名前を47箱で確認。うち1箱を無断で持ち帰ったという。

…なにやっとんねん。
「泥棒はうそつきのなれの果て」とはまさにこのこと。誰か止める奴いなかったのか。
ここまでくるとグリーンピースについては芸風としてスルーするとして、乗組員が持ち出したとされる鯨肉についてはどうなんでしょう。これが横領によるものだとしたら、当然に批判に値するものです。それ自体は各所の調査を待つしかないのですが、関係者から以下のコメントがなされています。

http://www.asahi.com/national/update/0515/TKY200805150114.html
 一方、日本鯨類研究所は、乗組員に赤身とウネスを数キロずつ土産として配ることは認めているが、「乗組員が何十キロものウネスを持ち出すことはまず無理だ」としている。

この「お土産」の量ですが、毎日新聞に細かい数字があがっていました。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080515-00000012-maip-soci
 鯨肉は通常、捕鯨船内で解体し、食用部分を共同船舶が市場で販売、収益は調査費用(約60億円)の一部にあてている。共同船舶は「乗組員は1人10キロの鯨肉を土産とするほか、3.2キロまでの購入が認められている。また、他の乗組員が買わなければ、その分の購入も可能だ」と話している。

一人当たり最大13.2キロまで正当な手続きで入手できるようです。さらに、他の乗組員が買わなければ、その分の購入可能とのことですし、また土産分を他の人に分けてあげる人もいるでしょう(捕鯨に従事しているからといって鯨肉が好きとは限りません)。となると、この23.5キロの鯨肉、これが誰か一人の分だとして、正規の方法で入手したとして説明できてしまうように思えます。土産10キロ+購入3.2キロ+他人からの譲渡10キロ=23.2キロです。1%ちょっとの誤差はありますが、肉をブロックで計ってそれぐらいの誤差が出ないということのほうが考えにくいと思います。
もちろんこれは私の想像に過ぎず、実際にはグリーンピースの主張するように不正規に持ち出されたものかもしれません。それは関係各所の調査結果を待つしかないんですが、報道から想像する限りは、横領と判断するには疑問を感じます。
ちなみに47箱がすべて鯨肉だとすると、12人分ですから一人当たり92キロぐらいになって、正規に入手したと思えない量になりますが、だとするとこれだけの長期の遠洋漁業でありながら、持ち込みの私物や鯨肉以外の土産が一切ないということになって、それは考えにくいと思います。