白馬の王子様

NATROMさんの日記の2月15日のエントリーを読んで、ちょっと思ったことがあります。

働きアリになる対立遺伝子なんてものがあったとしても、あっという間に集団から消えてしまうように最初は思えた。

最初は「ああ、そうなんだ」程度だったのですが、あとで「あれっ?」と思いまして。前回エントリーで書いた馬の毛色のことなんですが。
馬といってもここで言ってるのはサラブレッドのことで、この毛色は全部で8種類あります。それは栗毛、栃栗毛鹿毛黒鹿毛青鹿毛青毛芦毛白毛です(ちなみに白毛は、アルビノではありません)。で、この毛色ですが、遺伝的要因で決まるものですから当然両親の毛色に左右されまして、たとえば栗毛と栗毛の配合では栗毛しか生まれません。とはいえ逆は真でなく、たとえば青鹿毛青鹿毛の配合でも栗毛は生まれます。たとえばアドマイヤジャパンは栗毛ですが、父サンデーサイレンス、母ビワハイジとも青鹿毛です。で、前回のエントリーで書いたように、芦毛の馬というのは両親どちらかが芦毛でないと生まれません。前回エントリーの最後に書いたタマモクロスの場合、父シービークロス芦毛です(母は栗毛)。そしてシービークロスの場合、両親とも芦毛です。しかし芦毛同士の配合だからといって必ず芦毛が生まれるわけではありません。
さて、芦毛の馬は両親のどちらかが芦毛でないと生まれない、隔世遺伝しないということは、途中で芦毛でない馬が生まれれば、そこから先、芦毛が復活することはないということです。もちろん一頭の馬が一頭しか子供を残さないということはないでしょうが、しかしこれでは、芦毛の馬ってとっくの昔にいなくなってしまうような気がします。サラブレッドの淘汰圧はものすごいですから、もし芦毛の馬の競争能力が他の毛色の馬と比べて高いのならば、芦毛の馬も当然残るでしょうが、しかし競争能力と毛色に強い相関関係はないようです。
よくわからないのでちょっとググってみたんですが、どうやら芦毛遺伝子には芦毛を発現させる遺伝子とそうでない遺伝子があって、発現させる遺伝子のほうが優勢のようです。つまり、芦毛を発現させる遺伝子をG、させない遺伝子をgとすると、GG、Ggは芦毛になってggは芦毛にならないということです。さらに、芦毛鹿毛や栗毛に対して優勢なので、芦毛を発現させる遺伝子を持っていれば、鹿毛を発現させる遺伝子を持っていたとしても芦毛になるということです。
…よくわからないけど、要はGがなくならない限り芦毛の馬がいなくなることはないってこと?「途中で途絶えるとそれっきり」ってだけ見ると、消えてなくなっても不思議はないように思えてしまうんだけど…
考えれば考えるほど頭が混乱してきます。「自分が理解できないことは間違っている」と考えたほうが精神衛生上はとてもいいようです。トンデモさんたちの気持ちが少しわかりました。南堂さんに弟子入りしようかなあ…