ウェブそもそも論(の謎×12)

少しずつではあるけれど無限ループに陥ることなく着実に前進しているウェブそもそも論の謎についての議論ですが

ループしていた理由は、私がくっぱさんの最初のエントリーについて、「WWWの『情報の共有、結合』という理念は過去のものであり、現在では直ちに適用できない」という主張を含むと解釈してしまったからです。これは私の誤読です。ループをといていただいて感謝。

で、くっぱさんが私の主張を変だと思う理由がわかったような気がします。一言で言えば、「責任感の欠如」です。

もしも「どのような人であってもウェブを『このサイトからはリンクをされたくない』という立場で使用してはならない」と言い得るのならば、そのような立場で使用するのは不当なのでしょうけれど、それが言い得ることを示すことができる論法はこの世に存在しているのでしょうか。

WWWは、「お互いに自由に読めて、自由にリンクできる」という目的で存在するツールですので、WWWに置いた文書は誰からも自由に読まれ得ますし自由にリンクされ得ます。「そういうことができるように」と考えられているツールですから当たり前ですね。そんなツールであるWWWを「このサイトからはリンクをされたくない」という立場で使ったとしても、その願いが叶えられるとは限りません。運がよければ叶えられるかもしれませんが、叶えられなかったとしても自己責任ですので他人に文句言えることではありません。
「どのような人であってもウェブを『このサイトからはリンクをされたくない』という立場で使用してはならない」なんてことはありません。そんな立場で使いたければ御自由にどうぞ。ただし、自己責任でお願いします、ということです。くっぱさんは「そのような立場で使用することは禁止されていない」と強調されていますが、それは自己責任を否定しません。「そのような立場で使用することは禁止されていないから自分の責任ではない」と主張する人は、責任感が欠如しています。

例えば「アダルトサイトや嘲ることを目的に晒し行為をするようなサイトからリンクをされたくない」という立場でウェブを使用している人なんていくらでもいると思うのですけど、その人たちのウェブの利用は不当なのでしょうか。

そいういう立場でWWWを使うのは自由ですが、自己責任でどうぞ。たとえ晒しリンクをされても、リンク自体に文句言うことはできません。リンクした人の主張が不当なものであったなら、反論すればいいのです。「リンクが拒否できない」からといって「相手の主張に反論できない」わけではありません。


以下の件についてはsoft_tractorさんからもコメントを頂いてまして(ここ)、あわせて回答します。

私の論では、リンクをする自由と引き換えにその行為の責任を負っているのはリンクをした側なのだから、

誰の論であろうと「リンクした人はリンクしたことによる責任を負っている」ことを否定していないと思います。「リンクは自由なのだからその結果について責任を負わなくてもいいのだ」と主張する人を見たことがありません。

もしもリンクをされた側から「なぜあなたは私のサイトにリンクをしたのですか(私が納得せざるを得ない理由を説明できないならばリンクを外せよ)」というクレームがあったならば、相手に納得してもらえる説明をする立場にあるのはリンクをした側ということなのですが。

リンクした人は「相手に納得してもらえる説明をする立場」になどありません。相手が納得していようがいまいが自由にリンクできるのですから。「相手に納得してもらえる説明をする立場にあるのはリンクをした側」という主張が正しいなら、「相手が納得しなければリンクしてはならない」ということになり、すなわち「リンクは許可制」と同じになってしまいます。

「あっしのホームページは、サーバがショボくて、ちょいと負荷がかかるとすぐダウンしちまうんでさあ。なんで、あいすまねえこってすが、今ンとこ、どっからもリンクはお断りしてるんで。いずれはなんとかする心算でおりやすが、今日ンとこはGoogleのキャッシュでもリンクしといてくれやせんか?」

この「サーバがしょぼい」ってのはリンクした人には関係ない話ですよね。ならば、そのような場合は「頭を下げてお願い」すべきものじゃないでしょうか。ちなみに、「頭を下げてお願い」する場合なら正当な理由なんていりません。というか、正当な理由がないから頭を下げてお願いするというか。