マンガの中の情景

八百屋は野菜類を売る店であり、サンマは普通は売っていない。そのため、八百屋にサンマを買いに来る人がいたとしてもその人の願いは叶えられないだろう。それはサンマを売っていない八百屋が悪いわけではなく、サンマを買いに八百屋に来る人が馬鹿なだけであり、他人から見れば笑いものでしかない。現実にはそんな人はいないが、ギャグマンガの登場人物にはそんな人が存在する。当たり前といえば当たり前で、ギャグマンガは読者を笑わせることを主眼に作られているのだから、その登場人物が他人から見れば笑いものにしかならない行動をとることは作品の目的に適っている。
パチスロであった本当にスゴイ話7月号(笠倉出版社)の中の「ホールにいる変なヤツおもしろいヤツ5号機スペシャル!!」(やべまさひろさん作)の中にも、そのような人物が登場する。

いうまでもなくパチスロは遊びであり、パチスロ店は客に遊びを提供し、遊戯料金もらう商売である。そのような場所にギャンブルをしにきてもその願いは叶えられないのが当たり前であり、それに対して逆ギレしてもそれは他人の目から見れば笑いものでしかない。この作品はそのような「遊びを提供する店にギャンブルをしに来て、それがかなえられずに逆ギレする馬鹿」を笑ったものである。
それはいいのだが、このネタはパチスロ固有のネタではない。パチスロを野球に、パチスロ店を野球場に、ギャンブルをボーリングに置き換えてもネタとして成り立ってしまう。なので、あまりパチスロマンガにふさわしいネタではないのではなかろうか。
にもかかわらず、この系統のネタを使う漫画家が最近増えてきたようだ。私としてはもっとこう、パチスロにちなんだネタを開発してほしいと愛読者の一人として切に思う。