新世界レポート

今日は新世界の話である。新世界というのは、もちろんあの大阪の新世界である。新世界といって普通の人が思いつくのは、通天閣ジャンジャン横丁アントニーン・レオポルド・ドヴォルアーク(*1)あたりであろう。いずれも有名なものであり、そのような有名なものはあちこちで紹介されているので、ここはひとつ新世界でも無名なものを紹介しよう。それはパチンコ屋である。そのパチンコ屋とはニュー三共。2階が雀荘になっている建物の1階にあるのだが、外見だけ見るといたって普通のパチンコ屋である。しかし、このパチンコ屋には日本で唯一といっていい特色がある。
特色といっても、別に看板の「パ」の字が落ちてチンコ屋になっているわけではない。そんなネタは他の方があちこちでやっている。なんとこのパチンコ屋、日本で唯一のチューリップ台専門店なのである。とか言いつつマジックカーペットが置いてあるのはご愛嬌ということにしておこう。チューリップ専門店を謳っているだけあって、店内はチューリップだらけである。まるでオランダに迷い込んだみたいだ。オール10のチューリップ台が主体とあって、低投資で本当に長時間遊べる。五号機の規定が低投資で遊べることを目的に作られたと言われているが、チューリップ台に比べたらまだまだ五号機はギャンブル台である。チューリップ台の新台もあったりして、まだメーカーはチューリップ台を作っていたのかと別の所で驚かされる。って言うか、ここ以外に納品するアテはあるのか?
皆さんも新世界に来て、ほんの小一時間でも時間が空いたら寄ってみるといい。千円もあったら十分な土産話になる。さらに土産話を増やしたいなら、近くにあるニュースターという店がお勧めだ。ここはパチンコ屋ではない。なんと、スマートボールの店なのである。大阪でここ一軒!と宣伝されているが、そりゃそうだろう。スマートボールの台など、もはやどのメーカーも作っていない。開業しようとしても不可能なのである。このスマートボール、最近のパチンコ台のようにコンピューター制御ではない。全部機械制御である。機械制御で役物入賞や払い出しやら全部やっているのだから、すごいものである。もうどのメーカーも作っていないから、故障したら店が自分で修理するそうな。故障した部品は自分で作るぐらいのことはやってのけるらしい。
ここら辺をうろつき回っているだけで、昔懐かしの大阪風情を堪能できる。通天閣もいいけど、大阪にお立ち寄りの際は話のネタに是非どうぞ。

(*1)Antonín Leopold Dvořákの英語読みなのだが、「ドヴォルザーク」という表記が多い。これは「řá」が英文タイプライターでは打てないため、「rza(rとaの間にzを入れる)」で代用したところ、誤読されてしまったためである。(民明書房刊「好きやねん大阪!〜命名事情〜」より)