北京五輪柔道3

北京五輪柔道三日目、男子73kg級と女子57kg級は共に日本選手はメダルなしでした。さすがに一流選手の集うオリンピック、残念でしたが仕方ありません。
さて、以前よりよく言われている柔道というスポーツのあり方、今大会でもいくつか浮き彫りになっているみたいです。一本を取りにいくのでなく、細かくポイントをかせぎ、相手の指導でもなんでも先行したら、うまく時間を使って逃げ切ってしまおうという戦い方です。
柔道の元は武術ですが、スポーツとしての柔道はあくまでスポーツですから、ルールの範囲内での戦略はある程度はありと思います。アメフトなんかは相手にわざと点を与える戦略もあるぐらいですから。とはいえ、その競技の持つ基本的な精神というのは大事にするべきで、スポーツマンシップというものを考えざるを得ません。
というのも女子57kg級の決勝、イタリアQuintavalle選手とオランダGravenstijn選手の対戦だったんですが、Quintavalle選手が有効と効果を一つずつリード(相手ポイントなし)で残り時間7秒になりました。さてここで、Quintavalle選手が確実に勝とうとすればできます。逃げ回ればいいんです。指導が来てもポイントで勝てます。仮に指導二回来てもまだ勝ってます。指導が三回来れば逆転ですが、残り7秒でそんなことは起こりえません。で、実際にQuintavalle選手はその通りにして、金メダル獲得となりました。
そのようにすれば勝てるということは、柔道のルールがQuintavalle選手にそのようにするように求めていたとも言えます。しかし、Quintavalle選手を批判するわけではありませんが、やはり柔道の精神にはそぐわない戦略ではなかったかと思います。
同じく三位決定戦で見事な大外返しを決めて銅メダルを獲得した中国の許選手も解説の山口さんから辛めの評価をされていました。あの大外返し以外、初戦から含めて、殆ど技を出していませんでしたから。銅メダルが決まってから見事なバク転を決めていましたが、それだけの元気があるなら試合で出せばいいのにと思います。許選手としては地元中国での五輪ということで、自分には指導が来にくいという読みもあったのかもしれません。実際、準決勝まではそれで勝ち上がってきましたから。
しかし準決勝ではそれが裏目に出て、終盤に指導を取られ負けてしまいました。それにしても、いくら正しいジャッジであっても、北京五輪で地元中国の選手に対してあのタイミングで指導を出せる主審はすごいと思います。